2013年6月10日月曜日
躑躅(つつじ)
正気に戻れば事態は明らかだった。
路傍では、花の盛りを過ぎた躑躅(つつじ)の剪定作業
が行なわれていた。
4月の陽光の中では春爛漫の美しさを誇っていたが、
その後は振り返られることもなく、ゴミと雑草にまみれながら、
今度は枝や茎を延ばすことに専心していた躑躅(つつじ)の剪定作業である。
怒鳴り声の主は、つなぎにヘルメット姿の現場監督、
怒鳴り声の対象は、幸いにして「私」ではなく、少し先で先行して作業を始めており、
「終わった、終わった」という感じで、こちらに歩いてきた若者だった。
なるほど、大型の電動剪定ハサミ(?)を使って剪定はされているが、
近づいてみると上面がガタガタである。
もともと、幹線道路際の植栽として、躑躅(つつじ)が選ばれたのは
「排気ガス」に対する抵抗が強いからなのだろうか?
庭園の躑躅(つつじ)ならともかく、この状況で、
綺麗に刈りそろえたとしても誰も注目しないであろうし、多少不細工であっても、
依頼者(道路公団?)も文句は言わないだろうと思われた。
しかし、現場監督は厳しかった。
彼にとっては許しがたいことだったに違いない。
「いい加減な仕事してんじゃねえ。きちんと揃えろ!」
見られているから、評価されるからではなく、やるべきことをキチンとやる。
自分に恥じない仕事をする。
たまたまその瞬間に立ち会って、そのプロ意識に感銘を受けるとともに、
一人自戒の「種」を貰い受けたのであった。
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